外反母趾について  形成外科医長 岡本年弘


形成外科医長
岡本年弘

●プロフィール・健康法●

昭和34年8月25日生まれ。
東京医大卒業後、昭和大学医学部大学院を修了。昭和大学及び出張病院で形成外科を研修。
医学博士。形成外科認定医。
血液型はA型。1男2女の父親です。
先生の理想は「患者様に信頼される医師」です。
趣味はパソコン。
健康法は規則正しい生活を心がけストレスを貯めないことです。

Q 外反母趾とはどういったものでしょうか。?
足の親指(以下「母趾」)が中足趾節関節(付け根の関節、以下「MTP関節」)で外側に「く」の字に曲がる病気です。余りひどくなると母趾が内側に捻れて第2趾を外側に押し除けたり、第2趾の下に潜り込んで押し上げ第2趾のMTP関節を脱臼させます。
 変形以外に、「く」の字の角の部分(=母趾のMTP関節内側部)が赤く腫れ、靴を履くと当たって痛みます。足の裏の第2、第3趾の付け根にもタコができて痛むことがあります。頭痛や腰痛を併発する人もいます。
Q 外反母趾の原因はなんでしょうか。
外反母趾は戦前の日本には希有な病気とされていました。鼻緒のある下駄や草履が外反母趾の発生を防止していたようです。戦後、大多数の人々が頻繁に靴を履くようになり、特にハイヒールがファッションとして流行してくると、外反母趾の数も急増してきました。
 現在では特に珍しくはなくなり、一般の人にもポピュラーな病気になりました。女性には男性に比べ十倍以上多く、ハイヒールやパンプスなどの靴が強く関与しているようです。
  しかし、一生涯、靴を履かない様な地域でも欧米の10分の1程度の発生頻度で外反母趾が見られることから、先天的な病因もあるようです。従って、一定の外反母趾になりやすい素因に、靴などの後天的要因が加わって外反母趾が発症すると考えられます。
Q どういう治療がありますか。
最近、外反母趾を防いだり、足の痛みをとるいろいろなグッズが出回っていますが、これらは予防的意味はあるでしょうが、いったん足が変形するとこの治療法ではほとんど治りません。
 治療が必要な人というのは、指が何度曲がっているからではなく、靴を履いて痛いなど、生活に支障がある人です。足の形が変形していても、痛くないし、何とか履ける靴もあるし、生活に支障がないなら治療の必要はありません。その人の症状や生活様式にもよりますが、まずはハイヒールを履かない指導、そして足に合った靴選びの指導をします。治療としては、手術による治療が主となります。
 手術は、外反母趾の進行がひどくて、痛みのため歩行に困難をきたすとか、どうしても治したいという患者さんの場合に、よく相談してから決めています。手術法でよく行われているのは、中足骨という骨を切って矯正した位置で固定を行う術式です。これは、1〜2週間の入院が必要となります。
 そのあと数週間、踵を中心に歩くようになります。骨癒合するまでは、6週間前後を要します。介助者がいてベッド上の安静を保てる方の場合は、両足を同時期に行うことも可能ですが、通常はまず片方を行い、満足度が高い場合にもう一方を行います。他にも変形に応じて様々な手術術式を選択しています。
Q 予防法はありますか。
外反母趾を防ぐには「ハイヒールを履かない」「きつい靴・小さい靴を履かない」が基本です。人間の体は、基本的に踵を上げて歩くようにはなっていせん。ふつうに立っているときは、踵に5割以上の力が加わって、足の親指には3〜4割ぐらい、小指のほうに1〜2割ぐらいかかるような構造になっています。ハイヒールはそれを逆転させているので、足の先に余計な負担がかかってきますので、足にとって良くありません。
 もともと外反母趾になりやすい因子をもっている人(例えば祖母も母親も外反母趾だという人)が、足に合わない靴を我慢して履きつづけて外反母趾になった場合、ハイヒールを履くのをやめても、変形が進行していくといわれています。外反母趾になる因子をあまり持っていない人なら、若いときに無理な靴を履いて外反母趾になっても、ハイヒールや小さな靴を履かなくなれば、足の変形はそこでストップします。いずれにしても足先に負担をかけない靴選びが大切です。
  外反母趾は、一度なってしまったら進行するか、もしくは現状維持で、完治はしない病気です。よく病気は早期発見が大切といいますが、外反母趾も早期予防が最も重要であるといえるでしょう。
岡本医師のホームページアドレス
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