癌治療〜その様々な取り組み〜  内科 小出 浩久

小出医師

内科
小出 浩久

<<プロフィール・健康法>>

専門:糖尿病、癌の代替療法

昭和63年 自治医科大学卒業。
同付属病院にて研修。
平成2年〜5年 一心病院勤務。
平成8年より 一心病院勤務。

健康法:
気功、ヨガを組み合わせた体操をしています。図で示したような灸を2週間に1回は行うようにしています。
身体が冷えると調子が悪くなるタイプなので、身体をあたためる食品を摂るようにしています。

 

西洋医学的な癌の治療というと、手術、抗癌剤、放射線などが代表的なもので、最近は、副作用が少なく効果が高い方法が開発されています。しかし、癌のタイプや病状によっては、それらが十分効かない方、使えない方も多くおられるのが現実です。では何もできないか?というと、東洋医学の考え方を基本としながら、いろいろな取り組みも考えられます。その取り組みをするとき、こんなことに気をつけた方が良いという点を紹介したいと思います。

Q 癌に有効な食品というのはあるのですか?
癌をやっつけようと思うなら、身体の免疫力を上げなければいけませんから、その材料となる食品は、当然重要です。まず強調したいのは、特定の食品ではなく、“バランス”ということと、“力が湧いてくる食事”ということです。幸いなことに「がん抑制の食品」という本を見ますと、レモン、カリフラワー、さつまいも、パセリ、なす、ブロッコリー、小松菜、ほうれんそう、にんにく、玉ねぎ、にんじん、りんご、しめじ、海藻、ほたて貝、まいたけ、青魚、みそ、緑茶、スパイス(しそ、バジル)、カレー粉、しょうが等など、ごく当たり前の食品が並んでいます。それらの成分には、癌の増殖を抑える働きがあるというのですから、何と有難いことでしょうか。そして何よりもまず、元気の元である穀物をしっかり摂ること、摂れることが重要です。あとは、今まで食べなかったいろいろな野菜を、楽しみながら食べてみましょう。その際、「おいしい中国養生食」などの中国医学に基づいた食事の本が参考になると思います。
Q 運動をするとすぐ疲れてしまうのですが。
身体にやさしい“気持ちの良い”運動がおすすめです。当院でも、気功、ヨガなどのサークルがありますが、いろいろ試してみて、一番気持ちの良い運動を少しずつ、毎日でなくとも週3回ぐらいとか続けることが重要だと思います。
Q 「高麗人参」などの漢方薬は癌に有効ですか?
高麗人参は「気を補う薬」の代表です。癌に対して直接的に作用するのではなく、身体の免疫力を高めて癌に打ち勝つ、という間接的な作用です。ですから、「身体の免疫力を高める」ための手段として有効に使われなければなりません。いつでも、どこででも、どんな状態の人にも必要というわけではありません。高麗人参に限らず、その作用の長所と短所を必ず知るべきです。
「補気」の作用を持つものは、気虚(気が足らない状態)の人に対して効果がありますが、多すぎると消化器系の負担となって、胃もたれ、下痢などにつながることがあります。さらに、血虚・陰虚(血が足りない状態)の人では、ほてり、のぼせなどの症状がありますが、これを悪化させてしまうことがありえます。
“力が湧いてくるように”漢方薬も使いましょう。
Q 鍼灸も癌に有効なのでしょうか?
お灸癌からくる痛みなどの苦痛をやわらげるために、鍼灸は世界的に使われるようになっています。当院でもお灸を研究し、癌の患者さんにすすめています。特に、臍などのお腹と背中に、図のような形でお灸します。まったく熱さを我慢する必要はありません。東洋医学では、癌の患者さんは五臓六腑(消化吸収、呼吸、循環、排泄、ホルモンなど)の内臓全体の働きが衰えているとみます。その働きを高めてあげるために、お灸の熱と成分とにおいにより、内臓の血液循環を良くし、身体全体にたまってしまった老廃物質を排泄させてやるようにします。もちろん、これも人により良し悪しがあり、緊張が強くリラックスしにくい人、あまり体力のない人、衰えている人には逆効果です。お灸が癌を燃やしてしまうというイメージではなく、お灸によって内臓機能を高め(つまり消化吸収を良くし、呼吸を深くし、血のめぐりを良くし、尿、汗から悪いものを十分排泄し、ホルモンのバランスを整えることで)、免疫力をも高めて、癌を治していくというイメージです。
Q 心理療法は本当に役立つのですか?
当院では、カウンセリング、イメージ療法、アートセラピーなどの心理療法を実践しています。癌になられた方を拝見すると、身体だけでなく、心も無理している、傷ついているということを感じます。その上に癌と言われることで、患者さんは、将来への不安感、病気への恐怖感、そして世界からとり残された孤独感をもつことが多いのです。そのため、診療は、こうした両面からの診療が必要ですし、心理療法が有効であるという報告が多くあります。そして、癌になることで「より深く愛されること」「より深く愛すること」を周りの方々との間で体験することができれば、“人生で一番大事なものに気づかされた”という満たされた思いをも得れるはずです。

<参考>「がん抑制の食品」国立がんセンター研究所予防 研究部部長 西野輔翼編 (株)法研  「おいしい中国養生食」荘安繍著 竹内書店新社


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