眼底出血(高血圧、糖尿病の 合併症として)について 眼科 白石 弘志
- Q高血圧があると、どうして眼底出血するのですか?
- A 高血圧が長期間続くと、動脈硬化を起こしやすいと言われています。眼底の血管に動脈硬化が起きると、動脈壁が肥厚し、動脈と静脈が交わる所で、肥厚した動脈壁が静脈壁を圧迫し、静脈内腔が狭くなります。そこに血栓ができやすくなり、それが徐々に大きくなって静脈を閉塞してしまいます。そうすると静脈を介して血液が戻れなくなり、たまった血液が静脈壁より漏れて出血します(網膜静脈分枝閉塞症と呼びます)。
- Qその場合、治療はどうしますか?
- A 出血の範囲が小さく視力低下がなければ、経過観察だけで様子をみます。一方、高血圧や糖尿病等、内科的疾患をチェックするために内科に紹介し、必要なら内科的治療をしていただきます。 出血の範囲が広ければ、静脈の閉塞領域を調べるために、蛍光眼底撮影という検査(前腕の静脈より造影剤を注入し、網膜の血管の閉塞領域を調べる)を行います。そしてその閉塞領域がかなり広ければ(1象限以上)、出血が退いた時点で、将来の再出血を予防するためにレーザーで閉塞領域を焼いて凝固します。 同時に血管壁強化剤、抗血液凝固剤等の内服薬を処方します。
- Q 糖尿病があると、どうして眼底出血するのですか?
- A 糖尿病の三大合併症の1つが糖尿病性網膜症です(あとの2つは糖尿病性腎症と末梢神経障害)。糖尿病性網膜症は、成人の中途失明の原因の第一位です。 高血糖が長期間続くと網膜の微小血管の壁がもろくなり、微小血管瘤が発生し、血管壁から血液成分が漏出します。また毛細血管が閉塞したりします。それが多くなれば点状や斑状の出血、また白斑が眼底検査のとき発見されます。
Q糖尿病性網膜症が、成人の中途失明の原因の第一位になっている理由は何ですか?
- A 糖尿病性網膜症の初期〜中期は、視力も良好で自覚症状がほとんどありません。そのため、眼科受診が遅れることが一番の原因です。自覚症状が出てから受診すると、かなり網膜症が進行している方が多いのです。ですから内科から眼科に行くように紹介されて、眼科医が「今のところ網膜症は出ていませんが、年に1回(または3ケ月毎、半年毎等)は眼底検査に来て下さい。」と言われたら、その通り検査を受けることが、失明を防ぐ最善策です。
- Q糖尿病性網膜症の治療はどういうものがあるのですか?
- A 単純網膜症(軽症)と言われる時期は、眼科は定期検診のみで内科の治療が中心になります。前増殖期網膜症(中等症)と言われる時期になっても、視力の良い方が多いのですが、次の増殖期網膜症に進行するのを防ぐためにこの時期に網膜光凝固(レーザーで血管閉塞領域を焼く)の治療を行います。この時期に光凝固治療を受けることにより、増殖期への進行が激減し失明を逃れるケースが多くなりました。 増殖期網膜症(重症)になると、新生血管(出血しやすい幼若血管)が発生し、その周辺に線維や増殖膜がベッタリ糊状に付いて、視力も0.1以下になることが多いです。そうなれば硝子体手術(網膜にはり付いた増殖膜を取り除き網膜剥離に至るのを防ぐ)を行い、失明防止に努めます。
- Q 高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病は、内科の検査だけでなく、眼底検査が大切なんですね。
- A その通りです。眼の異常で眼科に来られた患者様に、たまたま眼底出血が発見され、その原因として高血圧や糖尿病が見つかり内科へ紹介することも多いのです。

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