下肢の静脈瘤について  外科・消火器科 渡辺泰博


外科・消化器科
渡辺泰博

●プロフィール・健康法●

昭和27年10月22日生まれ
慈恵医大卒業
慈恵医大、虎ノ門病院で研修
消火器科、乳腺外科、血管外科、内視鏡的手術など幅広く診療を行っています。
趣味はテニスと落語。
父親が42才で発病し11年寝たきりで亡くなりました。医者になったのは、闘病する父と介護する母を身近に見ていて、病気の人に少しでも役立ちたいと考えたからです。健康法は歩くこと(エレベーターは使わない)、バランスよく食べること、ストレスはためないこと。

Q.下肢の静脈瘤とはどんな病気ですか?
下肢の静脈が太く拡張する病気です。静脈は、動脈と違って心臓のような血液を送り出すポンブがありません。その代わり静脈の要所要所に静脈弁がついていて、血液が一方向のみしか流れないようになっています。そこへ筋肉の収縮などによって静脈が圧迫されることにより血液が一定の方向にのみ流れるのです。下肢の場合、心臓に向かって下から上へと流れるように弁がついています。当然重力により、弁には血液の重さが常にかかっている為、他の部位と違って下肢の静脈弁には、かなりの負担が強いられていることになリます。仕事で1日中立ったままの人や妊娠で腹圧が非常に高くなる妊婦などは、下肢の静脈弁に強い負担がかかることから弁不全を起こし血液が逆流するようになります。すると停滞した血液の為に静脈が拡張するようになり、更に弁の障害が進み、ますます逆流が激しくなるという悪循環から静脈の拡張がびどくなり静脈瘤が出来てきます。
Q.どんな症状を起こしますか?
外見上、下肢の静脈が拡張して、青く太く膨隆してきます(下肢の表層の静脈の位置関係から、大腿の内側、下腿の内側や裏面が多い)。タ方になると足がびどくだるく感じるようになります。更に悪化すると、下腿の内側が褐色に変色して硬くなってきます。これを放置するとそこの皮膚に潰瘍が出来てきます。この潰瘍は静脈瘤の治療をしないと決して治りません。また、静脈内の停滞した血液が固まって血栓となり、この血栓の刺激の為、炎症を起こして痛くなったり赤くはれたりします(血栓性静脈炎)。
Q.治療はどうするのですか?
軽いうちは、立ち仕事を辞めたり、妊娠による場合は、出産することにより治ります。また、治療用ストッキングをはくことにより症状を軽くすることが出来ます、きちんと治す為には、手術が必要となります。ストリッピングいって、拡張した静脈にワイヤーを通して静脈を引き抜く手術で、これにより血液の停滞する場所が無くなる為、症状は消失します。入院期間は普通1週間ですが、希望すれば手術の翌日退院することも出来ます。手術後1ケ月間治療用ストッキングを着用することになります。
Q.下肢の静脈瘤は、手術しなくても治す方法があると間きましたが?
A 手術せずに、注射で治る静脈瘤があります。今まで書いてきた静脈瘤は、下肢の表層にある静脈の中で、特に太い伏在静脈が、静脈瘤になった場合の典型的な状態に関するものでした。これを 1. 伏在静脈瘤といいます。これ以外に、2. 伏在静脈の枝のみ拡張したもの(分枝静脈瘤)。 3. 伏在静脈と一応関係なく発病する2〜8mm径の比較的太い静脈瘤(網目状静脈瘤)4.ごく細い毛細血管に近いレベルの静脈が1〜6mm径に赤く拡張したもの(クモの巣状静脈瘤)などがあります。この2.〜4.は、硬化療法といって、硬化剤をこの静脈瘤に注射することにより治すことが出来ます。治療の目的は、主に美容上ということになりますが、1.ヘ悪化させることを防ぐという意昧合いもあります。
Q.硬化療法はどのように行うのですか?
A 診察で、1.〜4.についての診断を行います。2.〜4.であれば、硬化療法を行います。2.3.は、1.との関係をはっきりさせる為に、静脈造影を行います。硬化療法は、根治的な治療ではないので、1.との関係を明らかにすることにより再発の可能性を推し量ることが出来るからです。用いる硬化剤は、血管外に漏れると皮膚に壊死を起こすことがあり、注入量が多すぎると深部静派へ入って血栓を作ることがある為、細い針を静脈瘤に刺して静脈瘤造影を行って漏れの無いこと、注入量を確認した上で注入を行っています(4.は造影は要りません)。注射が済んだら直ちに下肢に弾性包帯を巻いて2日間圧迫します。その後は1ケ月程度治療用ストッキングをはくことにより再発を予防します。1回の硬化療法で不十分の場合は、1週間ごとに繰り返し注射します。治療にかかる時間は、15分から30分程度です。入院する必要はありません。2.3.の場合、注射後静脈瘤内に血栓ができることがあり、その場所に膨隆、変色、痛みができることがありますが、徐々に消えていきます。治療が完了しても数ケ月から数年で再発してくることがあります。その場合は再度治療を行います。

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