虚血性心疾患 (狭心症、心筋梗塞)について 内科 瀬戸本 賢
- Q虚血性心疾患とはどんな病気ですか?
- A 心臓は全身に血液を送り出すポンプで、毎日休むことなく拍動しています。この心臓の表面には冠動脈と呼ばれる三本の血管が走っており、この冠動脈が心筋(心臓の筋肉)に血液を供給することによって心臓は生きています。動脈硬化が進むと、血管の内腔が狭くなり血液の流れが悪く詰まりやすい状態になります。冠動脈が狭窄して心筋に十分な血液を供給できなくなり、胸がキューと痛くなるのが狭心症です。又、狭窄した冠動脈に血栓が出来て完全に詰まると、その詰まった血管が灌流していた範囲の心筋に血液が流れなくなる為、放っておくとその心筋は死んでしまい動かなくなります。これが心筋梗塞です。心筋梗塞といっても三本の冠動脈のどの部位が詰まったかによって軽い症状で済む場合もあれば、胸が痛くなって倒れた途端に心臓が止まってしまう超重症のものまであるのです。狭心症も心筋梗塞も何れも冠動脈の血液の流れが障害された結果、心筋が虚血状態になる病気で、まとめて虚血性心疾患と呼ばれ、日本人の三大死因の一つとなっています。
- Q どんな人がなりやすいのですか?
- A 動脈硬化の危険因子を多くもっている人です。即ち、高脂血症、糖尿病、高血圧、喫煙、虚血性心疾患の家族歴等が多くある程、危険です。
- Q 発作は胸が痛くなるのですか?
- A 一般的には、胸の痛み、締めつけ感、圧迫感として感じますが、中には喉や背中、左肩、上腹部の痛みとして感じる人もいます。又、冷や汗、吐き気、嘔吐、息苦しさを伴うこともあります。狭心症の胸痛は長くても15分以内に消失しますが、心筋梗塞では30分以上胸痛が持続し冷や汗や吐き気を伴ったり重篤感があります。狭心症の発作時に舌下するニトログリセリンが効きません。その様な時は直ちに救急車を呼んで近くの病院へ行くことが大切です。
- Q どんな検査をするのですか?
- A @心電図があります。心筋梗塞だと特長的な変化が残りますが、狭心症だと症状がある時に心電図をとらないと異常がでません。その時は負荷心電図をとります。施設によってマスター心電図、トレッドミル、エルゴメーターと呼ばれる負荷検査があります。
A心筋梗塞では血液検査が有用でCPK、トロポニンTといった項目が陽性に出ます。
B最終的な検査は、冠動脈造影検査です。カテーテル検査とも呼ばれ、手足の動脈から局所麻酔後にカテーテルと呼ばれる細い管を送り込み血管内に造影剤を注入して冠動脈を撮影するものです。
- Q どんな治療法があるのですか?
- A 大きく分けて三つあります。
@一つは薬物療法です。狭心症の発作時にはニトログリセリンの舌下錠、或いはスプレーを使用します。冠動脈を広げて血流をよくする働きがあります。その他にカルシウム拮抗薬、ベータ遮断薬、アスピリン等を使用します。
A前述したカテーテル検査の延長で冠動脈形成術(PTCA)と呼ばれるカテーテル治療があります。カテーテルの先端に風船がついており冠動脈の狭窄部位でこの風船を膨らませ動脈を広げるのです。十分な拡張が得られなかった時にはステントと呼ばれる金具を留置して補強します。小さな刃を回転させて、動脈硬化で狭くなった狭窄部位を削りとる動脈硬化切除術(アテレクトミーとロタブレーター)と呼ばれるカテーテル治療もあります。
B冠動脈の病変部がカテーテル治療をする上で難しい場所にあったり、カテーテル治療が危険な場合は、冠動脈バイパス手術の適応になります。バイパスには足の静脈や胸、腕、胃の動脈を使用します。
- Q 日頃の心がけを教えて下さい。
- A 動脈硬化の危険因子を是正することです。まずは生活習慣の見直しから始めて下さい。食事は、ファーストフードやインスタント食品は控え、高蛋白、低脂肪、減塩食です。適度な運動は歩くことが基本です。瞬発力が必要な運動や早朝深夜の運動は避けて下さい。タバコは言うまでも無く禁煙です。ストレス、過労、お酒の飲みすぎも誘引になりますから気を付けて下さい。その上で、必要な薬は主治医に処方してもらい規則的に内服して下さい。

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