虫歯の原因と予防  一美歯科/歯科医師 長谷川朋

副院長・内科 阿部敏紀

一美歯科・歯科医師
長谷川朋

●プロフィール・健康法●

東京都出身
東北大学歯学部卒業
昭和大学歯科病院で研修
埼玉県、茨城県の開業医で勤務
平成13年より一美歯科で勤務
趣味はドライブ

「歯医者は痛いので大嫌い!」という経験から“痛くない歯医者さん”を目指して歯科医になられたそうです。車が好きで若い頃は鈴鹿までF1を観に行っていたとか…。家では2人のお嬢さまの優しいお母さんです。

Q歯は硬くて丈夫そうに見えるのですが、
  それでも虫歯になってしまうのはなぜですか?
 歯の一番外側になるエナメル質は、人間の体の中で最も硬い組織です。そんな硬い歯になぜ穴があくのでしょう。硬いのは石灰物だからですが、それは酸に溶けるという性質があります。歯の表面に歯垢※1というものが付きやすいのですが、その中の細菌が生み出した酸によって、溶けてしまうのです。このように歯が溶けることを「脱灰」と言いますが、これが進むと虫歯になってしまいます。もう少し詳しく見てみましょう。

図2のように、飲食をしていないときは口の中は中性に近く、pH※2(ペーハー)はふつう6.8ですが、糖分が口の中にあると、虫歯菌によって分解され酸が発生します。そのため、急激に酸性になっていきます。そしてpH5.4以下になると、歯のエナメル質が溶け出すのです。それが、この図の赤色部分です(脱灰)。時間の経過とともに徐々に回復しますが、私達は一日に何度も飲食をとるため、その度にこのような状況になっています。この脱灰の一方で、一度溶けかかった歯が再生する「再石灰化」という現象がおきていることがわかっています。図2の灰色部分で強くおきていると考えてよいでしょう。脱灰と再石灰化、このバランスが崩れ、再石灰化が脱灰のスピードについていけなくなったとき、穴があいて虫歯になってしまうのです。
Q虫歯菌はどうして発生するのですか?
 実は、虫歯菌は人の口から感染してきたのです。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には存在していません。ちょうど歯が生える頃にお母さんをはじめ、周囲の大人から感染するのです。そして、そのまま口の中に存在します。さらに、細菌の住みかとなる歯垢があると、どんどん繁殖していきます。そして、先に述べたような形で虫歯ができてくるのです。虫歯菌を完全に除去してしまうことは難しく、そうである限り、虫歯になる危険性は避けられません。虫歯菌がなるべく繁殖しないように、口の中の環境を整えることが大切です。
Q 虫歯の予防法について教えて下さい。
虫歯の予防についてポイントを述べていきます。

@歯磨き

歯に付いた食べ物をきれいに取りましょう。食事の後が効果的なのは明らかですね。
歯垢は黄白色をしているため歯と見分けがつけにくいのですが、専用の薬品で赤く染めることができます。歯科医院などで、自分の歯磨きをチェックすることも大切です。

A飲食回数と摂り方

食事と食事の間に、唾液によって口の中が中性になれば、再石灰化が進みます。お菓子やジュース、スポーツドリンク等は糖分が多く、そうした物を、だらだらと摂らないようにしましょう。

Bフッ素による歯質の強化

歯を強くするために、フッ素が有効です。フッ素入りの歯磨き粉や歯科医院で歯に塗布することによって、歯の表面を強くし、酸から守ることができます。

C歯科医院でのクリーニング

脱灰と再石灰化のバランスを重視した治療として、小さな虫歯は従来のようにすぐ削るのでなく、歯を強くするフッ素を塗って経過観察をし、歯を保護していきます。
また、歯磨きをしても意外に磨き残しがあったり、がんこにこびりついた歯垢は歯磨きではとりにくいという面もあります。歯科医院で歯垢を定期的にとってもらうというのも効果的です。

Qキシリトールが虫歯予防に効果があると聞きますが、本当ですか?
 キシリトールは白樺などから採れる甘味料です。カロリーが砂糖の七五%です。この甘味料が虫歯予防になるのです。なぜでしょうか。

キシリトールは、他の糖と同じように虫歯菌に取り込まれますが、菌はキシリトールを自らの栄養として使うことができません。そのため、キシリトールを摂取すればする程、菌は弱ってしまうのです。酸を作る能力は自然と弱くなります。ですから、正しくキシリトールを摂ることで、菌が減り虫歯になりにくくなるというわけです。また母子の間の感染を防ぐことも証明されています。

実際にはガムやタブレットで摂取することになりますが、ある程度量をとらないと効果はありません。そのため、歯科医院で手に入れるものの方が安心と思われます。

ぜひ、正しい知識を歯科医院で学び、自分と子供たちを虫歯菌から守ってください。

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