食物アレルギーについて  小児科医長 近藤 佳子


小児科医長
近藤 佳子

<<プロフィール・健康法>>

信州大学卒業。
聖霊病院にて研修後、
名古屋大学医学部小児科医局に入局。
平成1年より、一心病院に勤務。

<趣味>
読書や音楽を聴くことが好きです。絵本も最近のものは色彩がきれいで、夢のあるものが多く、子供といっしょによく見ています。
<健康法>
野菜不足にならないように心がけています。不足がちの時は青汁や野菜ジュースを飲んでいます。また運動不足になりやすいので、家で熊歩き(エドガー・ケーシーの健康法)をしたり、簡単なヨガのポーズをやってみたりしています。

 

皆様の中にも、ある食物を食べて、しばらくして急にじんましんが出てきたという経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。今回のお話は、食物によって引き起こされる生体に不利な反応のうち、免疫学的、アレルギー学的機序により起こるものについてのお話です。(小児科領域が中心です)

Qどのような症状がみられますか?
表に示すように、軽い症状から、重篤な症状まであり、臓器も多岐にわたっています。(症状は、必ずしも食物アレルギーに特有なものではありません。)症状や重症度は、食物の量と質、個体の年齢、過敏性の度合いにより決まります。(例えば少量の牛乳では症状が軽くても大量の牛乳では症状が強く出たりします。)症状出現までの時間は即時型では15―30分、非即時型では2時間以上たってからです。まれなものですが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーといってある食物を摂取して、2―3時間以内に運動すると、30分以内にじんましん、呼吸困難etcの症状が出現することがあります。
Q どのような食物が原因となりますか?
頻度が高いのは、図に示すように、卵、牛乳、小麦ですが、鶏肉、牛肉、豚肉などの動物性蛋白、米、大豆、そばなど穀類、ピーナッツなどナッツ類、サバ、アジなど魚、イクラ、タラコなど魚卵、カニ、エビなど甲殻類、キウィ、パパイア、メロン、ほうれん草などの果物や野菜など様々な食品が原因となりえます。
Q 何歳頃に多いですか?また、発生率はどのくらいですか?
発生率は子供の0.3〜7.5%で、0〜2才の乳児期に多くみられます。この時期は、消化管の機能が未熟で、十分に食物を消化できず、食物が抗原性を持つ高分子のまま吸収されるため、また腸管内の免疫能が不完全で、IgA産生が少ないため、アレルギー反応をおこしやすいとされています。
臓器 主な症状
全身 発熱、ショック症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻こすり、鼻出血
耳漏(みみだれ)
口唇が腫れる、口の周りが赤くなる、口の中がかゆい、口内違和感
まぶたのむくみ、かゆみ、涙が出る、眼球結膜が腫れる
呼吸器 咳、ゼーゼー、呼吸困難、声がかれる
消化器 はきけ、嘔吐(はく)腹痛、下痢、血便、肛門の周りが赤くなる
皮膚 かゆみ、じんましん、湿疹
腎臓,泌尿器 むくみ、タンパク尿、血尿、尿の回数が多くなる(頻尿)
神経系 頭痛、めまい、落ち着きがない、機嫌が悪い
※アトピー性皮膚炎の原因の一つに食物アレルギーがあります。   しかし、食物以外が原因のアトピー性皮膚炎もあります。
Q 診断はどのようにしますか?
一番大切なのは、問診です。2週間ほど、食べた食品を詳細に記載していただくこともあります。検査には、抗原特異的IgE抗体の測定、皮膚テスト、ヒスタミン遊離テスト、抗原特異的なリンパ球幼若化テスト、食物除去負荷テストなどがあり総合的に診断をします。
Q 治療はどうしたらよいですか?
原因が明らかな場合は、除去食を行いますが、その場合は、必ずそれに変わる食品(代替食品)を補うようにして下さい。複数の食物が原因の場合は最も症状の発現にかかわりのある食物のみ除去し、他の食物は最少限度の除去とします。食品の種類によっては、加熱処理や酵素処理etcをすれば摂取できる場合もあります。牛乳アレルギー用ミルク、低アレルゲン米、加熱卵料理(ただし、卵白のオボムコイドという成分は、加熱してもアレルゲン性が低下しにくい)などです。母乳栄養児では、母親の食事にも注意が必要です。卵アレルギー児では、母親も卵を除去し、牛乳アレルギー児、小麦アレルギー児の母親も、それぞれ牛乳、小麦の制限が必要です。加工品はなるべく避け、新鮮な材料を用いることも大切です。アレルゲンの完全除去が困難な場合や複数の食物アレルゲンが原因と考えられる場合には、抗アレルギー薬も有効です。また、最後になりましたが、それぞれの症状に対する治療も必要です。下痢→止痢剤、嘔吐→鎮吐剤、じんましん→抗ヒスタミン剤というように。
Q 予後はどうですか?
乳児期に重篤な反応をひきおこすことのある卵、牛乳、小麦は、数年後に寛解することが多いです。そばは成人になっても寛解しにくく、わずかな量の摂取でも呼吸困難をひきおこすことがあり要注意です。ナッツ類、魚介類も寛解しにくいようです。
<終わりに>
小児は成長期なので、自己流に食物制限をしないように、また寛解するアレルゲンもあるので、漫然と食品除去を続けないように、かかりつけ医etcでよく相談し、指導を受けるようにしていただきたいと思います。

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