 |
|
 |
|

副院長・内科
阿部敏紀 |
●プロフィール・健康法●
昭和29年11月16日愛媛県生まれ 血液型O型
昭和54年山口大学医学部卒業、同年より一心病院勤務
昭和54年12月より57年9月までタイ国難民キャンプにて医療ボランティア活動
昭和60年から2年間、東京女子医科大学消化器病センターにて消化器内科研修
平成12年より副院長
胆道も含めた肝疾患が専門ですが、肥満症、高脂血症、高血圧症、糖尿病などによる動脈硬化性疾患やアルコール性疾患への栄養療法にも取り組んでいます。肝臓教室と血液さらさら教室をそれぞれ年2回開催しています。
趣味はジョギング、ヨガ、太極拳、バスケットボール、コンピューター |
|
 |
|
 |
- Q脂肪肝とはどんな病気ですか?
- A 脂肪が皮下や内臓に貯まると肥満ですが、肝臓に貯まると脂肪肝となります。職場検診にて、肝機能障害は約12%認められ、その大部分は脂肪肝によるものです。脂肪肝の3大原因は飲酒、肥満、糖尿病ですが、その他、薬物、妊娠、循環障害、中心静脈栄養などでも脂肪肝をきたします。症状としては、自覚症状のない場合が多いですが、疲れやすい、倦怠感、右上腹部痛、腹部膨満などの症状を訴えることもあります。
- Q どういった成因でなるのですか?
- A 炭水化物、脂肪や果物を摂りすぎたり、さらに肥満や糖尿病の方は身体各所から常に中性脂肪の材料が過剰に肝臓に流れ込むために、肝臓にて中性脂肪が大量に産生されます。その時、たんぱく質の摂取不足がありますと、肝臓にて、すべての中性脂肪がたんぱく質と結合してリポ蛋白(難しい言葉で言えば、VLDL:超低比重リポ蛋白)となり肝臓から血中に出て行くことが出来なくて、残りの中性脂肪が肝臓に貯蔵されます。これが脂肪肝です。飲酒しますと、アルコールには中性脂肪の合成促進作用があり、また、深酒は炭水化物の摂りすぎとなり、食事をしないとたんぱく質不足、脂肪分の多いつまみを多食すれば、脂肪の摂りすぎも伴ってしまいます。
肥満者1)の約20〜30%の方に脂肪肝が見られます。糖尿病にては、血糖コントロール不良だと約半数に、コントロール良好でも4分の1の方に脂肪肝を合併しています。また、飲酒量が1日に日本酒として3合2)以上の方では、大部分に脂肪肝が認められます。
- Q 脂肪肝の診断は?
- A超音波検査にて、肝臓が腎臓より白っぽくなっている所見などにより鋭敏に脂肪肝を検出することができます。そのうち、肝酵素(GOT、GPT)の上昇を伴うものは約半数で、その多くは50〜150IU/Lの軽度から中等度の増加です。
アルコール性脂肪肝のみならず、アルコール以外の原因による脂肪肝でも肝臓の繊維化が進行することがあります。その場合、肝硬変となり発ガンすることも知られていますので、昔のように脂肪肝による肝障害は放置してよいとは言えなくなりました。脂肪肝が肝硬変になってくると、コリンエステラーゼという検査の数値は増加しなくなり、超音波検査でも脂肪肝に特徴的な所見は出なくなります。従って、超音波検査では脂肪肝の所見はなくても、肝生検をすると脂肪肝があったと言う場合もあります。
- Q 治療について教えてください
- A アルコール性の場合は減酒か禁酒を、高血糖の場合は血糖コントロールがまず必要ですが、その説明はここでは割愛します。
標準摂取エネルギーは身長に対する標準体重×25〜30Kcalで計算されます。身長165cmであれば、標準摂取エネルギーは1日1600kcal、身長178cmであれば、1日2000kcalです。3大栄養素の摂取バランス3)を重さで表しますと、炭水化物:脂質:たんぱく質の比率は12:2:3です。1日2000kcalの場合は、炭水化物300g、脂質55.5g、たんぱく質75gとなります。これに、ビタミン、ミネラル(塩分、カルシウム、ヨード、亜鉛・・)、カロチン、食物繊維などを適量摂取すれば、栄養バランスの取れた食事となります。
脂肪肝の成因から見ますと、脂質や果物を控えて、炭水化物を摂りすぎず、腎臓病がなければ、たんぱく質をしっかりとれば、まず良いだろうと言うことになります。さらに、動物性たんぱく質は肉食よりも魚食を頻回に摂られると、血液さらさらも兼ねることになります。
- Q 具体的にどういうことですか?
- A 詳細は、栄養指導を受けていただきたいのですが、簡単な方法として、12:2:3の比率で炭水化物:脂質:たんぱく質を摂取しようと言う観点から、お店で買った食品の栄養成分値を見てください。
例えば、野菜ミックスサンド1包み240円のカロリーは305Kcalで、その栄養成分値は、炭水化物28.3g、脂質17.3g、たんぱく質9gです。比率を見ると、炭水化物とたんぱく質のバランスはまあまあですが、脂質が多すぎることが判り、食品選択の目が養われます。もちろん、体感的に摂取バランスが判る方もいらっしゃるかもしれません。
運動の面では、1時間で7000歩(4km)歩くと、200Kcal消費。30分で5000歩(3km)速歩しても200Kcalの消費です。「1日7000歩以上歩くと良いですが、少なくとも5000歩は歩きましょう。」と言われていますのは、食べ過ぎた分から200Kcal消費するということよりも、適度な運動によって、インスリン(糖尿病)やリパーゼ(高脂血症)の働きが良くなることが目的です。ちなみに、200kcalは、ご飯1杯(150g)、りんごなら1個、バナナなら2個に相当します。健康的なダイエットは他書を参考にしてください。
- Q 最後に
- A 脂肪肝であっても、肝繊維化が進み肝硬変・肝がんを来たすことがあることの認識が必要です。また、脂肪肝は生活習慣病の一つの「表われ」であり、軽度でも肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症なども複数併せ持っている場合には、将来、脳梗塞、心筋梗塞などが発症する危険性が高くなります。従って、動脈硬化症悪化防止の一環として脂肪肝がなくなるよう取り組む必要があります。
1) 肥満:標準体重より20%以上重い方、またはBMIが25以上の方
2) 日本酒3合:ビールでは大ビン3本、ウイスキーではダブル3〜4杯に相当
3) 3大栄養素の推奨される摂取バランス(カロリー):摂取エネルギーの55〜60%を糖質で、20〜25%を脂質、15〜20%をたんぱく質
<参考>
たんぱく質を多く含む食品群 :魚、肉、卵、大豆など
炭水化物を多く含む食品群 :米、パン、めん、いも、砂糖など
脂質を多く含む食品群 :サラダ油、バター、ピーナッツ、クルミなど
ビタミン・ミネラル・繊維を多く含む食品群:果物、野菜、海藻など
( 注意:果物は果糖を含むので脂肪並みのカロリー供給源 )
Copyright©1999-2002 医療法人 社団日心会 総合病院 一心病院 All Rights Reserved.
〒170-0004 豊島区北大塚1-18-7
TEL.03-3918-1215(代表) FAX.03-3918-1725