「胆嚢結石症(いわゆる胆石症)」    院長 渡辺 泰博

吉松 宣弘

院長
渡辺 泰博

<<プロフィール・健康法>>

東京慈恵会医科大学卒業
専 門:消化器外科、乳腺外科


<健康法>

健康法:現在は、BMIは22.5{BMI=体重kg/(身長mx身長m)、標準は21〜23}とまあまあですが、太りやすい体質なので、体重に気を付けています。病院の中では、エレベータは使わず歩いています。また、時間を見つけては歩くようにしていますが、それだけでは運動不足なので、最近ヨガを始めました。やっているととても気持ちがいいですね。なんとか続けて行きたいと思っています。

 
Q 胆石症ってどんな病気ですか?
胆道(肝内胆管、胆嚢、総胆管)の中に石が出来る病気です。この石を胆石といいます。
  胆石ができた部位によって、胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石と分類します。この中で、胆嚢結石は一番頻度が高く、また多くの総胆管結石の原因となっており、胆石というと胆嚢結石を指すことが多くなっています。
  胆嚢結石は、コレステロール胆石が多く、肥満、高脂血症、脂肪食をよく食べる人がなりやすい病気です。食事の西洋化、運動不足などから急速に増加しています。
  胆石疝痛発作と呼ばれるものが、最も特徴的な症状です。脂肪食、過労などが発作の誘因となりやすく、てんぷら、中華料理、ステーキなどのこってりした食事の後しばらくして、胃のあたりや右上腹部に強い持続性の痛みが起こります。発作は、1〜2時間で自然に軽快することもありますが、鎮痛剤の注射を必要とすることもしばしばあります。発作のとき以外にも、右上腹部の重苦しさ、右背部の鈍痛、右肩のこり感が続くこともありますが、全く無症状のこともよくあります。
Q 胆石(胆嚢結石)は痛くなければ放置しておいてもいいですか?
胆石があっても全く症状のない人も多く、これを無症状胆石(サイレント・ストーン)と言います。しかし、胆石は疝痛発作を起こす以外に様々の合併症が見られます。
  急性胆嚢炎は何らかの原因で、胆嚢の出口が閉塞して胆嚢内に胆汁がうっ滞して細菌が急速に増えることにより起こります。急性胆嚢炎の9割に胆石を認め、これが発症の原因になっています。強い持続性の右上腹部痛を認め、発熱を伴います。悪化すると胆嚢穿孔して胆汁性腹膜炎を起こすことがあります。また、胆嚢の炎症が総胆管に波及すると胆汁の流れがうっ滞し黄疸を引き起こすこともあります(ミリッツィ症候群)。
  その他の合併症として、総胆管結石症、急性胆管炎、胆石膵炎、胆石イレウス、胆嚢癌などがあります。
Q 胆石症(胆嚢結石)の治療法は?
胆石の治療は、石が大きくなったり、症状をくり返す場合に行われます。手術によって、胆嚢を取りのぞく方法が主流です。
  胆嚢結石溶解療法:胆石溶解剤を6ヶ月以上飲み続けると、約20%の人に胆嚢結石の縮小、消失が見られます。薬の副作用はほとんどありません。しかし、胆嚢結石が、1〜2個で、直径が1〜2cm以内、カルシウムがついておらず、胆嚢の収縮機能が保たれているものしか適応になりませんので、その恩恵にあずかれる人はわずかです。
  腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC):1988年フランスで開発されて以来、傷が目立たず、痛みが少なく、手術後数日で退院できることから爆発的に普及しました。当院でも1992年からこの手術を行っています。気腹といって炭酸ガスを腹腔に注入して空間を作り、小さな穴から腹腔鏡という棒状の内視鏡を挿入し、他に数ヶ所の小口を開けて細長い鉗子を挿入して胆嚢の剥離、血管の処理、胆のう管の処理を行なって胆嚢をその小さな穴から取り出す方法です。但し、胆嚢壁の強い炎症、周囲との強い癒着があると危険が増すため、手術途中で開腹術になることもあります。全身麻酔で行ないます。
 

開腹胆嚢摘出術(OC):100年前から行なわれてきた方法です。初期の頃は胆嚢の中の結石だけ取る手術も行なわれましたが、胆嚢炎を起こしたり、すぐ結石が再発したりするため、結石を含めて胆嚢を取る手術が標準となりました。全身麻酔で行ない、上腹部に10cm程の傷が残ります。手術後1〜2週間で退院できます。

Q ではどうしたらいいのでしょう?
以上いろいろな治療法がある上、胆石を持っていても症状が出なかったり、軽かったり、強い症状が出ても内科的な治療(鎮痛剤、抗生物質などの投与)で症状が消失してしまうことも多く、いつ上記のような根治療法を行なったらよいか迷う人が多いと思います。
  原則は、胆嚢結石が見つかって、胆嚢結石溶解療法の適応があればまずこの治療を行ないます。溶解療法の効果がなかった場合も含め、症状がなければ経過を観察します。食事の注意などによる肥満、糖尿病、高脂血症の治療の方が重要で、これらを治療していけば、胆石発作を起こさないまま経過すること(サイレント・ストーン)も多いのです。
  有症状胆石症(何らかの胆石症状があるもの)の場合には、放置すると前述したような様々な症状が出現して来ることが多いので、胆嚢摘出術(LC)を勧めます。
  急性胆嚢炎を起こした場合は、まず保存的治療(絶食、抗生剤、胆嚢外瘻など)を行います。これで症状が消失してしまう場合もしばしばあります。この場合もなるべく早く(LC)を受けることを勧めます。一度胆嚢炎を起こすと繰り返し胆嚢炎を起こしやすくなるためで、繰り返すと胆嚢の癒着が強くなり手術の危険度が増すからです。
  その他の合併症が出現した場合には、やはり速やかに根治的治療を行なう必要があります。
  また、胆嚢結石を持っている女性で60歳を超えている場合は、胆嚢癌の発生に注意が必要で症状がなくても繰り返しエコー検査をして行くことが大切です。

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