糖尿病について 内科 小出浩久
- Q.糖尿病は、なぜ、恐ろしい病気だと言われるのでしょうか?
- A 癌のように、すぐ生命にかかわる病気ではありませんが、徐々に身体をむしばんでいくからです。眼、腎臓、神経、そして動脈硬化。人により、また、病気のコントロールの仕方により、進み方は様々ですが、全身にいろいろな不具合がおこってくるのです。放っておくと、突然、目がかすんできた、というような症状がおこることがあるのです。
- Q.治療について、最も重要と思われる点はなんですか?
- A 患者さんご自身が納得してまた、安心して治療に取り組まれることだと思います。糖尿病治療はずっと続けることが必要だからです。無理やあせりは禁物です。できることを続けることです。そして、何か一つのものに頼るという治療も禁物です。いろいろな健康食品、新薬が出ています。しかし、糖尿病治療は、食事、運動、ストレス、薬などなど、生活全体として取り組むべきものですから、何か一つで大丈夫ということはありません。それは、病院で出される薬にしても同じことです。薬だけ飲んでいれば、というのも大きなマチガイの一つです。
- Q.糖尿病の原因はなんでしょうか?
- A 遺伝的な要因(生まれつきの体質)に、生活習慣の悪さ(過食、特に動物性脂肪のとりすぎ、運動不足、ストレスなど)が加わって発症してきます。日本人を含む東洋人は、欧米型の食生活だと、早く膵臓がへばってしまい糖尿病になることがわかってきました。生活の中で、膵臓をもっともへばらせているものを、各自がきっちり知っておかなければなりません。ある人は、焼肉の食べすぎかもしれませんし、ある人は果物のとりすぎかもしれません。また場合によっては、過度な仕事、精神的ショックが膵臓をへばらせることもありえます。人それぞれ、主因はちがうとも言えますので、生活をふりかえってみることが必要です。また、自分の親、兄弟がどうだったか、もふりかえっておくべきです。これは、その家系によって、重症度、合併症のおこりやすさ(胃腸が弱い、眼が悪くなりやすい、心疾患が多いなど)が、ちがうからです。注意すべき点も、治療方針も異なることさえあります。
- Q.グリコヘモグロビンA1Cとはなんですか?
- A 1〜2ヶ月間の血糖の平均値を示すもので、糖尿病の血糖コントロール状態をみるには、とても良い指標です。低ければ、低いほど良いことが、最近の研究の成果でわかっています。目安としては+30して、体温と同じと考えてもらうと良いかも知れません。つまり、6.5%(+30して36.5)までは、平常で、7%(+30して37.0)以上だと要注意、8.5%(+30して38.5)なら、入院した方が良いかも知れない、という感じです。もちろん、目安は同じ値でも、人によりもつ意味は異なります。
- Q.健康食品、漢方薬などは、使わない方が良いのでしょうか?
- A これは、非常に難しい問題です。ただ、先程述べたように、一つのものに頼るのは危険です。あくまでも、治療の主体が、食事、運動、ストレス、薬のコントロールにあることを理解した上で取り入れるべきでしょう。そうした場合、思わぬ効果のあがることがあるのも事実です。牛車腎気丸という漢方薬で数年つづいた足のしびれが改善した方もいます。
- Q.ストレスのコントロールに関して、良い方法があるでしょうか?
- A 手軽に行えるがまちがったストレスコントロールの方法が、酒(過量)、タバコ、美食、などです。しかし、一旦、習慣化すると、そこからくる刺激から、容易には抜け出せません。しかも、手軽にできるなら、なおさらです。徐々に、正しいストレスコントロールを体験していくことが、必要でしょう。散歩、健康的な趣味、気功(当院で気功講座を行っています)、自律訓練法、などです。自分にあったのもを見つけることが必要でしょう。精神的ストレスは、聖書の拝読、音楽鑑賞や演奏、瞑想のような方法も有効なことがあります。他の人に良くても自分に良いとは限りませんので、いろいろ試してみることです。(ちなみに、私は気功、お灸、最近は水泳をはじめました)
- Q.糖尿病は一生治らないのでしょうか?
- A この質問は、一生好き勝手には、飲んだり食べたりできないのでしょうか?と同じ意味にとって良いでしょう。生きている限り、身体の法則を無視できないのは当然です、と答えるしかありません。いくら食べても良い人など地上には存在しないのです。胃腸の強い弱いがあるように膵臓のインスリン分泌も良い人、悪い人があってこれは変えられないようです。上手に賢くつき合うことが必要でしょう。自分の体質を知ることです。そして、自分に合った生活パターンを徐々にでもつくっていくことです。糖尿病治療が、無味乾燥なものでなく、おもしろいものになるよう、我々も協力したいと思っています。
- Q.他にアドバイスは・・・?
- A 少なくとも、治療は夫婦単位でとりくむ必要があります。糖尿病気質、体質を、互いがよく理解していくことが必要と思います。食生活にしろ、レジャーにしろ、人生は一人では楽しめません。糖尿病の方でも工夫次第で十分豊かな生活が送れるのです。特に、性生活の面で理解し合っていないと、最高の喜びの瞬間が最高にみじめな瞬間となりかねません。そういう意味でも、病気について夫婦でよく理解していけるように援助していきたいし、我々も研究をつみ重ね、よりよい治療アドバイスができるようにしていきたいと考えています。

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