糖尿病を甘く見ないで  内科 山口 守道

山口医師

内科
山口 守道

<<プロフィール・健康法>>

昭和33年和歌山県生まれ。
昭和59年関西医科大学卒業。
帝京大学医学部感染化療研究室にて研修。
千葉大学医学部で学位取得。
済生会中央病院で糖尿病教育入院。
外来診療の指導を受け、当院での診療に役立てている。

糖尿病患者会コスモス会の顧問として指導にあたっている。
専門は糖尿病を中心に、生活習慣病全般。

<趣味>
星を観ること、読書。血液型はAB型、性格はおっとりしている。
<健康法>
いつも感謝して食べることです。

  糖尿病の合併症
Q 糖尿病は増えていますか?
確実に増加しています。日本には糖尿病、予備群を含めて、1,620万人の患者さんがいると推測されています。増加の原因は、生活様式の変化やストレスが大きいと考えられています。具体的には自動車の普及による運動不足、高カロリーの飲料水の多飲、不規則な食生活等です。
Q 自覚症状がなければ放置して構いませんか?
糖尿病はサイレントキラーと呼ばれ、自覚症状が無く進行し、症状が出る頃には合併症を併発している事が多いため、決して放置してはいけません。最近、糖尿病特有の合併症(網膜症、腎症、神経症)や動脈硬化による合併症(脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、壊そなど)によって、緊急入院する方が後を絶ちません(図1)。健康診断などで疑い有りと判定されたら、必ず糖尿病専門外来を受診され、きちんと評価されることをお勧めします。特に糖尿病予備群とか境界型と言われた方も、放置すると糖尿病になったり、動脈硬化が進行する事が分かってきたため、自覚症状がなくても定期的に受診するよう心がけてください。
Q インスリン注射は必要ですか?
治療の基本は、食事、運動、薬物療法です。その中で、最も重要なのは土台となる食事です。栄養士さんとよく相談されて、根気よく食事療法を続けましょう。運動は食事療法を助けるもので、歩くことが一番です。薬物療法は内服薬とインスリン治療に分かれ、内服薬も作用の違う薬が各種開発されています。1型糖尿病は自分のインスリンが出ないため、インスリン注射は必須ですが、多くの方は2型糖尿病で、内服薬では十分にコントロール出来なくなった場合注射が必要になります。最近では、残存するインスリン分泌能を守るために、早めにインスリン注射を導入する方向になってきています。インスリン注射も以前とは比較にならないぐらい簡便になり、種類も増えて、より生理的に近い血糖コントロールが可能となってきています。インスリンが必要かどうか、よく主治医とご相談されると良いでしょう。
Q 教育入院について教えてください。
当院では、1週間と2週間の教育入院プログラムを用意しています(表1)。治療を続けていくためには糖尿病とはどういう病気かについて、良く知っておく必要があります。「糖尿病治療の手引き」という本は、糖尿病学会から出ており、患者さん向けに分かりやすく書かれています。各種のビデオ教材も豊富に取りそろえており、ニーズに合わせて学習できるようになっています。尿糖、血糖測定も自分でやれるように指導しています。毎日3度の食事を研究されれば、ご自分にあった食事内容を実地で学ぶことが出来ます。患者様のご都合で、1―2週間の入院が難しい場合は、短縮して行うことも可能ですので、遠慮なく担当医までご相談下さい。まずは体験することが重要です。
Q 患者会について教えてください。
当院には「コスモス会」という患者会があります。東京都糖尿病協会所属の会で、正しい糖尿病の知識の普及・啓蒙、患者さん及びそのご家族の療養指導の目的で設立され、16年の歴史があります。会長さん始め役員の方は患者さんで、私達医療者は相談役となっています。診察時間だけでは時間もなく、一方通行になりがちなため、双方向の交流が特徴で、同じ病を持つ患者さん同士の励みにもなっています。具体的な活動内容は、協会発行の雑誌「さかえ」の配布や、「コスモス便り」の発行、歩く会、食事会、親睦旅行会、クリスマス会などを定期的に行っています。現在会員数は40名です。お気軽に入会下さい。
表1:一週間用教育入院スケジュールの一例

曜日

内容

入院時検査
眼科受診

糖尿病教室
頚動脈/心エコー
血圧脈波測定

上腹部エコー

栄養指導

コスモス会紹介
退院前指導

退院

毎日尿糖、血糖測定、ビデオ学習があります。検査は病状により追加や変更があります。

一口に糖尿病と言っても、一つの病気と言うよりは多様な疾患群と考えられています。程度も様々で、食事と運動だけでコントロールできるものから、合併症が進行し、腎不全になって透析を受けながら療養しておられる方までいます。まずは現状を正しく知り、どのように対処すべきか、相談しながら取り組みましょう。


Copyright©1999-2002 医療法人  社団日心会  総合病院 一心病院 All Rights Reserved.
〒170-0004 豊島区北大塚1-18-7
TEL.03-3918-1215(代表) FAX.03-3918-1725